鏡の中の自分

鏡の中の自分

Leica SL2

 

神戸から次の目的地・大阪へと車を走らせていた。

雨が降っていたせいもあるのだろう、一般道は渋滞していた。

信号待ちで前に停まったタンクローリーの銀色のタンクに自分の車が映っていた。

タンクが雨に濡れていたせいだろうか、そこに映る車はぼんやりとして最低限の姿形をとどめているだけだった。

知らない人が見ればどんな車なのか想像することもできないだろう。

「そういえば部屋を出る前に自分の姿を鏡で確認しなくなってから、どれくらいの月日が経っただろうか…」

目の前のタンクに映る車をぼんやりと眺めていると、そんな思いが突然湧いてきた。

会社勤めしているときには当然、外出先では他人と会うわけで、身だしなみを整えて臨むのが当たり前だ。

コロナ禍も手伝ってか、「マスクをしているから」とか「リモートだから」とか、とにかくそんな理由で自分自身の身だしなみにそれほど気を遣わなくてもいいような風潮があるように思う。

さらに自分には「会社を辞めたから」という理由も加わった。

他人の目を気にする必要が、だんだんとなくなっていったわけだ。

それとともに他人との繋がりも、どんどん薄れていっているような気がする。

これがいいことなのか、悪いことなのか、今はまだわからないけれど、もう少しこうした日々を楽しませてもらおう。

 

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