Leica SL2
繁華街の雑踏を歩いているとショーウィンドーを食い入るように見つめるカップルを見つけた。
女性のほうは少し背伸びして上から見ていたかと思うと、しゃがみ込むような仕草で今度は下からと、何度かそんな動きを繰り返しながら、かなり念入りにショーウィンドーの中に飾られたマネキンを見ていた。
ほんの少し先に通り過ぎていた男性も戻ってきて女性に寄り添うように一緒に眺めている。
そんな二人の後ろを多くの人々が、“都会の人々”のスピードで足早に通り過ぎてゆく。
二人の姿など目に入っていないかのように…。
しばらくして、やっと何かに納得したのか、二人はその場を離れていった。
二人がその場に立っていたのは、時間にしてどれくらいだろうか。
いや、そんなに長くはいなかったはずだ。
きっと、二人の後ろを通り過ぎる人々の流れの速さに時間感覚を翻弄されて、そこだけがやけにゆっくりとした時間が流れていたように感じたのだろう。
他人がどんなスピードで進んでいようと、自分たちがそれで納得できるのなら、どんなにゆっくりしか進めなくても、ときには立ち止まってしまっても、何も問題ない。
人生なんてそんなものだ。
都会の喧騒に翻弄されることなく、自分たちだけの時間を楽しめばいい…。