Leica SL2
通天閣に登ってみた。
高い場所が好きではないと言いながら、旅で訪れた街にあるテレビ塔やタワーに登る機会が増えたように思う。
高い場所から見渡す街の景色が、地上を歩いているときに見る景色とはまた違ったものになるからという当たり前の理由もあるのだけれど、大体そうした場所は街の中心部だったり、周りが公園だったりして、その街に暮らす多くの人々も集まりやすく、その街の人々の暮らしぶりをじかに見ることができるように思うからだ。
ここ通天閣も、きっとそうなのだと思う。
通天閣を中心にその周りに栄える新世界の街は、コテコテの典型的な大阪を体現している人々が集まる場所と言っていいだろう。
お昼どころか朝からやっている立ち飲み屋には多くの地元のオッちゃんたちが集い、だいたい阪神タイガースへの嘆き節で盛り上がっている。
ほんの少し前、ここを訪れたときには営業していたはずの店舗がなくなっていたり、観光客が減っただけでなく、地元の人も出歩いていないなのか、人通りは少なく寂しい通りになっていたのに驚いた。
今年の6月に仕事で訪れたナンバの街もそうだったが、たぶん日本で一番元気な街だと思う大阪も、コロナ禍の影響で喘ぎ苦しんでいるというのが正直なところなのだろう。
それでもこの日の通天閣には、観光客も戻ってきているようで、大阪以外の街からやってきた人々が上空の展望台から各方角に見える有名な観光スポットを指差しながら、それぞれに大阪の街を満喫しているようだった。
そんな通天閣の窓に掲げられた「明けない夜はない」の言葉が、実際にはまだこの街が本調子ではないことを物語っているのだけれど、それでも、立ち飲み屋から聞こえてくる大阪のオッちゃんたちの笑い声や、たこ焼き屋の店先でたこ焼きをつまみにジョッキをあおるにいちゃんたちの笑顔を見ると、なぜかこちらが勇気づけられているような気分になった。
まあなんとかなるのかなと思わせてくれる不思議な力が、この街にはあるのかもしれない。
そう、必ず夜は明けるのだから…と。