道は色々あっていい

道は色々あっていい

Leica M10-P “Reporter”

 

昼食難民だ。

名古屋の部屋は街の中心部に程近く、周りには大きなオフィスビルもあり、お昼時にはそれらのビルから出てきたサラリーマンのみなさんで近隣の飲食店は混み合う。

混み合うといっても、もしかしたらコロナ禍で多くの企業が取り入れたテレワークのせいで出勤している人数は大幅に減り、以前と比べるとランチタイムでもお客さんの数は減少しているのかもしれない。

それでも、これもコロナ禍の影響だけれど、以前ならなんとも思わなかった赤の他人と隣り合わせになるカウンター席や、テーブル席での相席も、今は少し気がひけるというか、そういう状況になるお店に入るのは腰が引けてしまう自分がいる。

過剰反応かもしれないけれど、それでもやはり…と思いながら数軒のお店を回っているうちに、入れるお店がなくなってしまった。

どうしたものか、このまま散歩がてら歩いて店内が空くのを待とうか、などと、あるオフィスビルのガラス製の手すりにもたれかかって、いろんなことを考えていると、下の方から「コツン、コツン」と小さな音が聞こえてきた。

振り返ると、地下街へと続く階段を降りてゆく一人の女性が見えた。

彼女が履いたパンプスのヒールが、コンクリートを叩く音だった。

その階段と並行してエスカレーターが設置されている。

一段、一段、ゆっくりと規則的に「コツン、コツン」という音を奏でながら降りてゆく彼女の横をエスカレーターに乗った人たちが通り過ぎて行った。

少し長めのスカートを履いているせいか、心なしか歩きづらそうにも見えた。

なぜ彼女は、エスカレーターではなく階段を選んだのか…。

他人にはわからない、彼女なりの理由があるのだろう。

みんなと同じ道を行かなければならない理由なんて、どこにもない。

人それぞれ、道も様々だ。

そう、道はいくらでもある。

自分で選んで、自分の好きな道を行けばいい…。

 

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