Leica Q2 “Reporter”
予報どおり、前夜から降り続いた雪が街を覆い尽くしていた。
北海道は東北地方など、この季節になると普段から雪が降り続く場所とはちがい、ここは例年それほど雪が降ることはない関東地方。
それも比較的に首都・東京にも近く、都内までは通勤圏とされている場所だ。
日が昇る前のまだ暗い時間帯から、広い通りを行き交う車やバスはタイヤに巻いたチェーンの音を響かせていた。
その音も手伝って、こちらも夜明け前には目を覚まし、近所を歩いた。
何年ぶりだろうか…。
何年に一度かくらいのペースで、この程度の雪がふりつもっることはあるが、出張の多い自分にとっては、いつもそのタイミングでこの街にいたわけではない。
だから、これほどの雪を軽々していない年が何年もあり、当然、その風景を毎回撮影しているわけではなかった。
今回、たまたま時間があったのもそうだが、もうこのあと、もしかしたらこんな風景を自分が暮らす街で見ることはできないかもしれないと思い、雪に足をとられながらも Leica Q2 “Reporter” を手にじっくりと歩いていみた。
じっくりといったところで、結局いつもの散歩コースを中心に、そこから少し足を伸ばす程度だったが、それでも雪が積もった路面に滑りながら、それなりの距離を歩いたが、当然のことながら、そこにはやはりいつもとは全く違う景色が広がっていた。
公園には人っ子一人いなかったが、すでに学校へ向かった子どもたちが残していったものだろうか、真っ白な雪原に小さな足跡が並んでいた。
そして、雪が積もった遊具だけが寂しそうに佇んでいた。
バス停の横に並んだ自転車も、昨夜から置き去りにされていたのだろう、雪が絡みつき風変わりなオブジェと化している。
一通り街を歩き終えて自宅に戻ろうとしたところで、滑る路面を気にしながら恐る恐る自転車を押して歩く女性と出会った。
こんな大雪でも、いつも通りに会社に向かおうとしているのだろう。
こうした日本人の勤勉さには本当に頭が下がる思いだ。
普段とは違う景色が出現していようが、人々の毎日の生活には関係ない。
一見風変わりに見える雪景色よりも、こうした人々の毎日の変わらぬ営みを垣間見れたようで、早起きした甲斐があったように思えた…。