Leica M10-P “Reporter”
きっと非常時にしか使われないものだとは思うのだけれど、建物の外側にむき出しにつけられた螺旋階段が見えた。
もちろん、曲りくねった階段の外周側には手すりを兼ねたフェンスが設置されているようだけれど、遠くから見るとその高さは、大人の腰の高さまでは届いていないように思えた。
上の階から下に向かってぐるぐると回りながら降りていくうちに、次第に勢いを増して何かの弾みで外に飛び出してしまうのではないか?
そんな恐怖が頭をよぎった。
そもそも、あまり高いところが得意ではなかった。
それが年々、歳を重ねるにつれて顕著になって、今やむき出しの非常階段はもちろんだが、観覧車やロープウェーなどにも恐怖感を覚えるようになっている。
はたして自分は、非常時とはいえ、こんな螺旋階段を降りていくことができるのだろうか…。
そう思った瞬間、自分が住む部屋の非常階段を確認しておくことにした。
備えあれば憂いなし。
人生において、こうしたどうってことない、些細なことの積み重ねが、いざという時に役に立つのかもしれないな。