Leica M10-P “Reporter”
地下鉄のホームへと向かう通路の途中にコインロッカーが並んでいた。
一人の男性がロッカーの前に佇んでいる。
スマートフォンでなにやら調べ物をしているようだった。
そこに置かれたコインロッカーが、電子マネーを利用して荷物の預け入れから取り出しまでを行う新しいタイプのものだったので、その使い方を調べているようだった。
よく見ると奥の方に並んだロッカーは、硬貨で料金を支払いカギを使って利用する昔ながらのものだったから教えてあげようかと一瞬思ったのだけれどやめておいた。
お節介とか余計なお世話と思われるのは構わないけれど、もしかしたらこの男性は新しいことへのチャレンジを試みようとしているのかもしれない。
ふと、そんなふうに思ったからだ。
実際のところはわからなかったけれど、せっかくこの男性がそんなふうに考えていたのだとすると、自分がやろうとしていることは、この男性の新しい学びの機会を奪ってしまうことになる。
自分自身も、こうしていくつになっても新たなことへのチャレンジは忘れないでおきたい。
そう思いながら、その場を去ることにした。