Leica M10-P “Reporter”
雨上がりの街を歩く。
道路にできた水溜りに雨が上がったばかりの曇り空が映し出されていた。
いつも歩き慣れた近所のビルの間を縫う歩道を進んでゆくと、そこでは何かの工事が始まっていた。
歩道を確保するためだろう、工事箇所を区切るようにフェンスが建てられていた。
このフェンスがなければ、隣のビルとの間に設けられたカフェスペースが、ガラス張りのビルの壁に映り込み、実際の面積の倍以上の空間を演出しているはずだ。
いまはフェンスの前に並べられた赤いパイロンの行列が、ガラス窓に映し出されている。
行列の先を一人の女性が横切ってビルの中へと消えていった。
その瞬間、ここがどこか違う世界への入り口のように見えた。