Leica M10-P “Reporter”
午後からは雨の予報だった。
部屋を出て目的の場所へと急いだ。
雨が降り出す前に用事を済ませ、自宅に戻る。
それほど時間のかかる用事でもなかったので傘は持たずに出たのだが、信号待ちですぐ目の前に立った女性はすでに傘をさしていた。
空を見上げる。
雨はまだ降っていなかった。
周りを見回したが、黒い傘をさした女性の他に傘をさす人は見当たらない。
日傘なのか…。
もう一度空を見上げたが、分厚い雲が垂れ込め日差しは見えない。
彼女には彼女なりの理由があるのだろう。
そう、他人のことは他人にはわからない…。