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「一眼レフカメラで撮る」不審者!?

Leica M10-P “Reporter”

 

ある地方新聞のWebサイトに掲載された「#不審者情報」というタイトルで始まる記事に、たまたま目が止まった。

「#不審者情報」に続いて「帰宅中の中学生を一眼レフカメラで撮る男」とあった。

内容を読んでみると「帰宅途中の女子中学生が、男に一眼レフカメラで写真を撮られるという事案が発生しました」とある。

“事案”という言葉を使っていることから、明らかに事件扱いになっている印象を抱いた。

さらに、その男の推定される年齢や身長などの身体的特徴とともに着衣の情報を記した上で、「このような事案に遭遇したときは、すぐにその場から逃げて、警察に通報してください」と注意喚起を呼びかけ、ご丁寧にこの“事案”の発生地域の所轄署と思われる警察署の電話番号まで記載されていた。

この短い記事を読んだだけでは、現場の状況や、その男が実際にどのような写真を撮っていたかまでは知ることができないが、ここまで「事件扱い」して注意喚起を呼びかけているのだから、きっと写真を撮られた女子中学生にとっては、かなりの恐怖を感じる状況だったのだろう。

 

 

この新聞社が過去に「#不審者情報」のタグをつけて配信していた記事を読み返してみると、「こんなことしたら不審者扱いされるよな」と思うような“事案”から、「これはあかんやろ」と思うような“迷惑行為”、さらには明らかな犯罪まで、いろいろな“事案”が並んでいた。

例えば「路上で坊主頭のやせ型男が下半身露出」などは、明らかに公然わいせつだし、「量販店でスカートの中をしゃがんで覗き込む男」というのも犯罪だろう。

他には「下校途中の小学生児童が名前を聞かれた」や、「車の中から手招きされた」など、誘拐や連れ去りなどにつながる危険性もある、その状況に遭遇した子供たちにすれば、かなりの恐怖を覚えるような“事案”もあった。

カメラや写真撮影という言葉が出てくるものには、「路上ですれ違いざまに女子児童にスマホを向ける男」、「下校中の女子児童を写真撮影する男」というものが…。

これらは最初に記した「帰宅中の中学生を一眼レフカメラで撮る男」と同様、撮る方側からしたら、ただ単に「写真を撮っていただけ」だったり、実際に撮影したわけではなく「スマホを“向けた”だけ」なのだけれど、撮られた側からの申告(通報)で不審者扱いされ、このような「タイトル」で“事案”として、広く世間に告知されている。

もちろん、これらの例には、明らかに“悪意”を持って行われた行為と感じられる何かがあったからこそ、通報されたのだろうと推察される。

こうした「不審者情報」は、今回たまたま目にした地方新聞だけでなく、他にもさまざまな地方で地元警察とマスコミが連携して行なっていると聞く。

高齢者や女性、子供といった弱者がターゲットになる犯罪を未然に防ぐためには、重要で素晴らしい取り組みだと思う。

 

 

ただ、それにしても、写真というものに長く関わってきた者からすると、前述した明らかな“犯罪行為”と同列で「写真撮影」という単語が羅列されている状況は、いやはやなんとも…。

「李下に冠正さず」という言葉がある通り、疑わしき行為は慎むべきであるのは当然だ。

さらに写真撮影に限ったことではないが、他人が不愉快に感じる行為を公共の場で行わないのも、当然のことだ。

だが、一部の“不届き者”のせいで、普通の人たちのマトモな活動が制限されてしまうのは、いかがなものか…。

カメラ片手に街をぶらついているということは、自分自身はそんなつもりはなくても、もしかしたら「通報されるかもしれない行為」を毎日、無意識にやっているということなのだ。

もう日本は、気軽に撮影どころか、好き勝手にカメラを構えることすら許されない国になっているのかもしれない。

 

LeicaViaggio

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