Leica M10-P “Reporter”
花や木といった植物の名前には全くと言っていいほど疎い自分でも、この木の名前だけは知っている。
芳香剤としてもお馴染みの香りを放つ木なのだが、この木が玄関のすぐ横に植えられている。
この木が花をつけ、その香りが本領を発揮する頃になると、「ああ、今年ももう秋なんだな…」と、季節の移り変わりを教えてくれる重要な役割を担っている。
この金木犀も植えられてからすでに20年以上が経ち、背丈も2階の屋根を優に超えるほどに成長した。
それに合わせて横幅も大きく育ち、今では玄関を覆い隠す勢いだ。
これで少し困るのが、家のすぐ前の道路から玄関が見えづらくなってしまうことだ。
玄関がこの木によって隠されてしまうのは、防犯上、あまりよろしくないらしい。
留守を狙って玄関先で悪さを企てる者にとって、絶好の目隠しとしての役割を担うことになるからだ。
期せずしてその目隠しとしての役割が、年を追うごとに大きくなっている。
だからといって、せっかくここまで育ったものを伐採してしまうのはかわいそうな気もする…。
この季節になると、いつも、あのお馴染みの香りを振り撒き、ご近所さんからも好評の木。
世の中には「邪魔だから」「面倒だから」といった手前勝手な理由だけでさまざまなものを“切り捨てる”人々がいる。
自分自身は、こんな自分勝手な生き方はしたくないと思う。
20数年の時間を共に歩み、多くの時間を共有しただけでなく、多くの思い出もある木をそんなに簡単に切るわけにはいかない…。
まずはいつも庭の手入れをしてくれる庭師さんと相談して、来年もまたこの木がいつもの香りを振り撒けるような道を考えよう。