Leica M10-P “Reporter”
もう10月だというのに全国各地で真夏を記録した。
真夏日が数日続いている街もある。
時間があると知らず知らずのうちに訪れる家からほど近い海岸も、真夏を思わせる暑さで、波打ち際では裸足で波と戯れる人たちの姿があった。
過ぎ去る夏を惜しむかのようにという表現ではなく、未だ真っ盛りの夏を楽しんでいるかのように水着で海に入る子供たちと、それを微笑ましく見つめる家族連れの姿もある。
空の雲は夏のそれとは少し違い、秋の様相を呈しているようにも見えるが、気温がこれだけ高いと「もう秋だね」などと言った言葉はどこからも聞こえては来ないだろう。
本来、日本という国は四季のうつろいの中で、それぞれの季節ごとに美しさがあり、その美しさこそが日本らしさ、そして、毎年そのそれぞれを楽しめることが日本に暮らす人々の特権なのだと思っていた。
しかし、近年、そのような四季の移り変わりが少しずつだけれど狂ってきているような気がする。
いつもなら楽しめたはずの光景を見ないまま、気づけばいつの間にか知らない場所へとワープしてしまったかのように、本来の順序を飛び越えて次の次の季節へと変わっていることに気付かされることが多いような気がする。
この海岸にも、まだ秋はやって来ていない。
次にやってくるのは、どの季節なのか…。