Leica M10-P “Reporter”
やけに明るい夜だった。
見上げると民家の間から月がこちらをみていた。
満月にはまだ遠い形のその月が、やけに明るい夜を作り出す正体だった。
昼間のそれとは比べ物にはならないけれど、それでもかなり明るく感じる。
もしかしたら日がまだ完全に暮れ切っていないのかもしれない。
そう思い、西の空を見ると夕焼けはとっくに消えて漆黒の闇が迫ろうとしていた。
やはりこの月が今は主役なのだ。
古代から太陽と月は、色々な意味で比較される関係だ。
太陽の強大な光に勝てることは決してないだろう月だが、月は月で太陽とは違うその幻想的な光で人々を魅了する。
もちろん太陽がなければ月明かりは存在しない。
でも、太陽には月のように幻想的な光を演出することはできないだろう。
どちらが主役で、どちらが脇役?
そんなことで争っているのは、きっと人間くらいだろう…。