Leica M10-P “Reporter”
いつもの散歩道の途中にバス停がある。
そのバス停のすぐ後ろ、歩道を挟んで公園が広がる。
歩道から公園へと続く並木に一台の自転車が停められていた。
自分が初めてその自転車の存在に気づいたのは、もう1ヶ月近く前になるのではないだろうか。
最初は、自転車をここに停めてバスに乗り込み最寄駅へと向かっているのだろうと思った。
駐輪場ではないけれど、きっと近所の方だろうし、周りに迷惑になる場所でもないので、それほどめくじらを立てるようなことでもないだろう。
多分このバス停を利用したり、ここを通ってすぐ先のスーパーマーケットやコンビニに行く人たち、横の公園で子供達を遊ばせている大人たちも、きっと自分と同じようなことを考えていたのではないだろうか。
しかし、たまたまここ数日、毎日ここを歩くことになった今日、自転車の位置がまったく変わっていないことに気づいた。
どうやら放置されているようだ。
誰かがどこかから乗ってきて、この場所に乗り捨てていったのかもしれない。
自分がそれに気づいたのは、たまたまこの数日のことだけれど、初めて自分が見た時からだから少なくとも、もう1ヶ月以上ずっとそこに放置されている事になる。
自分自身は毎日ここを通るわけではないのだけれど、きっと平日は毎日このバス停を利用して通勤している人たちがいるはずだ。
自分のことを棚に上げて他人のことをどうこういうつもりはないのだけれど、それにしても自分が住む街の中の、それも自分が毎日利用するバス停に、誰がどこから持ってきたのかもわからないモノが放置されていることに誰も気づいてないのだろうか?
気づいているけれど厄介ごとに関わりたくない一心で無関心を装っているのか。
放置自転車の不気味さよりも、ここに住み住民たちの無関心さの方が、自分にはなんだか少し不気味に思えた。