Leica M10-P “Reporter”
稲が刈り取られた田んぼを貫く形で橋がかけられている。
橋といっても河川や鉄道を跨ぐものではなく、高架橋式の高速道路の一部だ。
この街に住み始めた頃にはなかったその橋(高速道路)も、もうできてから数年が経とうとしている。
春には植えられたばかりの青々とした苗が、秋には黄金色に輝く稲穂が、この田んぼ一面を埋め尽くす景色がみられたその場所を高速道路が横切っている。
きれいな景色だけじゃ飯は食えん!
誰かがそんなことを言っていたように思う。
きれいな景色だけでは、街も栄えてはくれないのかもしれない。
高速道路が通り、近隣に様々な企業の大きな物流拠点が建設されたと聞いた。
きっと近隣の自治体は、それによって何かしらのメリットがあるのだろう。
こうして街の経済活動が活発になれば、その街自体も活気づくはずだ。
きれいな風景がいつまでも残ることと、どちらがいいのか…。
そんなことを考えたところで、答えなど見つからないだろう。
だから、もしかしたらもう永遠に消えてしまうかもしれない一瞬を、これからも大切に刻み続けていこう…。