なにも映さないミラー

なにも映さないミラー

Leica Q2 “Reporter”

 

今日も日課の散歩だ。

前日に比べるとかなり寒い日に思えた。

それでも、いつもよりは早い時間に家を出ることができたので、思い切ってこれまで歩いたことのない新たなルートを開拓してみることにした。

すぐ近くにいくつかのゴルフ場がある。

そのうちの一つを取り囲むように作られた道を歩く。

もしかしたら何度か車で通ったことがあったのかもしれないけれど、その道の周りの風景はまったく記憶がなかった。

ゴルフ場のフェンスに沿って大きく曲がるカーブに差しかかったところで、一つのカーブミラーを見つけた。

見通しの悪いその道へ脇道から合流してくる車のために設置してあるようだが、ミラーは汚れて、そこに映し出される景色が一体なんなのか、まったく判別がつかない。

カーブミラーとしての本来の役割を果たしていないのは明白だった。

それでも放置されているところを見ると、もともとこの道が人や車の通行量も少なく最初からニーズがなかったのかもしれない。

そもそも、見通しの悪い場所を一生懸命に目を凝らして見たところで、結果的に見えるものなんて大して期待はできない。

ここだってそうだ。

道路の角度や高低差だけでなく、高く生い茂った木々によって作り出される陰で視界は悪い。

色々な要素というか悪条件が重なり、そもそもその先なんてなにも見えないのだ。

今の時代がそうであるように…。

年の終わりが差し迫ったこんな日に見つけた、なにも見えないミラー。

何かの暗示なのかも知れない…。

 

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