くまモンのライカ C-LUX
半年に一度、「視野検査」なるものを受けている。
自分自身、この件については医者ではないので詳しくはわからないのだけれど、もう10数年前から受けている検査で、今では、きっとみんな受けたほうがいいのではないかと思っている。
それは10数年前のある日、まで遡る。
右目に何か異物が入ったのか、その数日前から、ゴロゴロする感じがあった。
洗面所で顔を洗うときに、あえて右目を指で無理やり開き、蛇口から流れ出す水をあててみたところで一向に良くなる気配がない。
仕方ないので近所の眼科に行ってみた。
すると、ゴロゴロした原因は、すぐにわかった。
逆さまつげだった。
こんなものは簡単で、先生がピンセットで内側(眼球側)に向いた何本かのまつ毛を抜いてくれれば解決した。
しかし、このとき同時にもう一つの事実が判明した。
眼科に行くと頼んでもいないのに、診察を前にして、いきなり色んな検査が行われる。
視力検査はもちろんだが、とにかく普通に生活していると全く知らないような検査を簡単に行ってくれるのだが、その中に眼圧の検査がある。
眼球に向けて「シュッ」とひとふき空気を噴射する検査器を使って眼圧を測るらしいのだが、その簡単な検査で自身の眼球の圧力といえばいいのだろうか? 詳しくはよくわからないが、とにかく、たぶん“眼球の圧力”ともいうべき、眼圧が計測されるのだ。
自分の場合、この眼圧とかいうものが、正常値と呼ばれる範囲を大幅に上回っていることが判明した。
これって実際どうなるの?
正直、こんな感想しかなかったのだけれど、先生の説明を聞くと、長生きしたい、したくないは別として、生きている以上間違いなく毎日、朝から晩まで使うであろう目が、この眼圧が高いせいで視神経が圧迫された結果、視力を失う可能性があるらしいということがわかった。
まれに生まれながらにして眼圧が高い「高眼圧症」的な人たちがいらっしゃるそうだ。たまたま自分が、それらの人たちに該当しているらしかった…。
まあ、これは仕方のないことだよね。誰かを恨んだり、誰かのせいにできることではなくて「ただ単に体質的な問題」と言われれば、それはその通りで、自分自身がどうにもしようがないことらしいから…。
では、この後どうすればいいの? こんな単純な疑問が頭に浮かんだ。
すると先生は、こんなふうにいった。
「大丈夫ですよ。眼圧をさげる薬を処方しますから、毎日、忘れずに使ってください。ただし、経過観察はしたいので、半年に一度、視野検査だけはしましょうね」
たった、これだけ。
それから、処方された点眼薬(眼薬)を欠かさず、さらに先生のいいつけを守り、半年に一度の視野検査も欠かさず受けている。
そして今日、最初の診断から、たぶん10年以上経つが、今回の検査でも、視野が欠けていっている様子はないようで、これからも毎日、元気に写真を撮って暮らしていける人生が、とりあえずは半年先まで保証された(笑)
検査と診察を終え、会計の順番が呼ばれるのをベンチに座って待った。
その待合室には、吹き抜けになった2階の窓と、そこにかけられたカーテンが、まるでどこかの有名な教会のステンドグラスのように煌びやかな情景を織りなし、そこから、まだ春の日と呼ぶには早すぎる、あたたかで柔らかな光が降り注いでいた。