街を歩くワケ

街を歩くワケ

Leica M10-P “Reporter”

 

週末からの準備のために先乗りしているから…。

そんな言葉は、こんな時間まで一歩も部屋を出なかった言い訳にはならないだろう。

昨夜到着した那覇市内のホテルの窓からは、日が暮れようとしている港と、市街地へと向かう幹線道路、そして空港と街を結ぶモノレーレが見えた。

長期滞在型のホテルということもあり、部屋には冷蔵庫などホテルなら当たり前のどこにでもあるような設備に加え、こじんまりとしたキッチンや電子レンジ、洗濯乾燥機なども備えているため、ほとんどのことがホテルの中で済ませることができた。

正直言って、わざわざ街に出て行く必要がないどころか、部屋がかなり快適なのだ。

そのせいもあって、朝から部屋で作業を続けていると、気づけばこの時間。

これでは自宅にこもって仕事をしていた頃となんら変わりがない。

夕暮れ時の交差点には、信号待ちの車のテールランプが赤い一筋の流れを作っているように見えた。

街は生きている。

突然、そんな思いが湧いてきた。

そう思うといてもたってもいられなくなった。

これから支度したのでは、きっともう夕暮れ時を通り越して夕闇が迫ってくるだろう。

それでもいい。

夜は夜で、街はまた違った表情を見せてくれるだろう。

作業を切り上げて、ライカ片手に街へと急いだ。

 

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