絵筆のように

絵筆のように

Leica M10-P “Reporter”

 

海を渡る道路の途中で車を停めた。

島へと向かうその道路の中間地点あたりだろうか、高速道路でいえばサービスエリア的な場所が設けられていた。

アスファルト舗装の駐車スペースから歩道に上がっていくと、芝生を敷かれた小さな公園のようなスペース、さらに歩くとその先は海だった。

そこから先は海へと下って行きますよといった感じの一番高くなっているあたりに、パームツリーが並んで立っている。

頭上を見上げると青い空が広がっていた。

青いキャンバスに白い絵の具で描かれているような雲が浮かんでいた。

パームツリーの葉と同じように、クルン、クルンと巻き上がるような形の雲もあった。

それは、まるでパームツリーを絵筆にして、その先につけた白い絵の具でサッ、サッと描いたようにも見える。

明日から天気は下り坂の予報だ。

こんな青空が見られるのも、今回の滞在ではこれが最後かもしれない。

残り少ない青空を残しておこうという想いで、シャッターを一回だけ切った。

 

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