Leica M10-P “Reporter”
こういうものを「造形美」というのだろう。
仕事に向かうため電車に乗ると、隣のホームには特急電車が停まっていた。
特急電車の向こう側から光が差し込み、その姿はシルエットとして映し出されていた。
全体的に丸みを帯びたボディに、これもまた丸みを帯びた縦長の窓が規則正しく並んでいる。
窓の中には座席のヘッドレスト部分が少しだけのぞいて、丸みを帯びた窓にアクセントをきかせていた。
特急電車の上に見える波型に形取られた屋根とが相まって、そこを「造形美」と呼ぶにふさわしい空間に演出していた。
流線型の先頭車両、運転席の上にはモニターが2台、波型の屋根から吊るされている。
運行情報などを伝えるための業務には欠かせない“機材”だが、それさえも機能よりもデザインを優先して作られたように見えるから不思議だ。
こうして誰かの手によって“作られた”景色かもしれないけれど、自分にはまだまだ知らないこと、見なければならないことが、日本中のあちこちに残っているのかもしれない。
これから撮らなければならない写真が、まだまだたくさんあるということだろう。