Leica M10-P “Reporter”
ザ・リッツ・カールトン大阪で過ごしたのち、一度名古屋の部屋に戻り、そこから車で東京を目指すことにした。
ホテルチェーンの会員ランクのおかげか、ザ・リッツ・カールトン大阪では当初予約していた部屋よりも遥か上のランクだと思われるスイートルームに宿泊できる幸運に恵まれた。
部屋の豪華さはもちろんだけれど、迎えてくれたスタッフのサービスの素晴らしさに驚かされた。
滞在中に利用したレストランも、料理のクオリティーの高さはもちろんだが、とにかくスタッフの心遣いが素晴らしい。
そうした素晴らしいスタッフたちをよそに、利用客の方はといえば、お世辞にもその場にふさわしい人たちばかりではなかったように思う。
こうした高級な場所での立ち振る舞いは、一朝一夕に身につくものではないのだろう。
幸い自分は、長年勤めた企業が海外出張の際の宿泊などに使える予算をかなり潤沢に使わせてくれたおかげで、世界各地でこうしたクラスのホテルに宿泊できるチャンスが多くあった。
そういった場所での他の国々からの利用客の振る舞いを見て多くのことを学ばせてもらった。
また、レストランでの振る舞いに限って言えば、子供の頃から食事の仕方からテーブルマナーまで厳しく躾けてくれた親に感謝するべきなのかもしれない。
語弊がある言い方だと承知で書くが、やはり、いくら金を持っていても“育ち”はお金では買えないのだ。
そういうふうに思わされてしまう残念な客を多く見かけた。
周りで見ているこっちが不愉快になるような行状の客もいたが、こういう時こそ「人のふり見て我がふり直せ」だ。
きっと、ご本人たちは今後の人生でもずっとお気づきになられないだろう。
だが、こちらは、こういう方たちの行いを反面教師として教訓にし、自分が襟を正せばいいだけだ。
そういう自分だって、このブログやSNSで吐く言葉は、とてもじゃないが“紳士”とは言い難いだろう。
そんなことを考えながら新東名高速道路を東京に向かって走っていると、いつもはすんなりと抜けられる区間で車は停車させられた。
どうやらトンネルの中で事故らしい…。
しばらくすると車列は、のろり、のろりと動き出した。
トンネルの出口あたりに1台の車両が止まっていた。
他に車はなく、単独事故のようだった。
「こんなまっすぐな道で、どうやったら事故を起こせるんだよ! 迷惑だからヘタクソは運転なんかするな!!」と、罵声が思わず口をついて出てしまった。
そういった後、「やはり自分は、まだまだ“紳士”には程遠いな…」と、そんな思いが頭に浮かんできた。
“紳士”への道のりは、まだまだ長く、まだまだ遠いのだ(笑)