Leica M10-P “Reporter”
新幹線が動き出すと窓の外から強烈な西日が差し込んできた。
駅のホームにも、そして車内にも、少しずつだけれど人の姿が戻ってきていた。
街に人が戻ってくるその様は、街自体が息を吹き返し、また元気だった頃の姿を取り戻そうと必死にもがいているようにも見える。
建物と建物の間を縫うように走る電線が、太陽に照らされて白く光っていた。
その何本もの電線が、白いさざなみのようだ。
今はまだ小さな波だけれど、やがてそれは大きなうねりとなり、巨大な力で海岸線に打ちつけてくる。
そこに暮らす人々の思いをつないで、つないで、一つの大きな流れを作ろうとしている波のように見えた。
建物の屋根の一部に夕陽が反射して光り輝いている。
まだまだ本調子ではないけれど、こうしてまた多くの人、そして街が輝きを取り戻す日が、もうすぐそこまでやってきている。