Leica SL2
帰京する飛行機の出発時間まで、まだかなり時間があった。
地図を眺めながら、どこか時間を潰すために寄れる場所がないか考えた。
少し大きめの島が目についた。
周防大島。
たしかに島だが、本州とは橋で結ばれており、気軽に行き来することができる場所だ。
子供の頃に何度か訪れたことのある島で、そこからなら空港まで30分ほどで着くことができるだろう。
そう思いハンドルを握った。
島の中では、ハンググライダーやパラグライダーの離陸場としても使われているというくらいだから、きっと絶景が楽しめるだろうと思い嵩山展望台を目指す。
山頂に到着したころには、すでに西の空に太陽が降りてこようとしていた。
展望台の左右両方向に「TAKE OFF」と書かれた離陸台が設置されていて、その向こうに大小さまざまな島々が浮かぶ瀬戸内海が見渡せる。
夕焼けに染まってゆく瀬戸内海を見ながら、「もう少し日が暮れた方がきれいかな…」とも思ったが、これ以上長居すると帰宅ラッシュにぶつかる可能性もあったので、空港へと急ぐことにした。
空港のロビーにはクリスマスツリーが飾られ、そのツリーが放つ光が待合室のガラス窓でキラキラと輝いていた。
窓の向こう側にはこれから乗る飛行機が止まっていた。
コックピットでは二人のパイロットが出発の準備をしている。
その前を機内清掃のスタッフが横切っていく。
今回の旅を締めくくるこの飛行機も、こうして多くの人が支えてくれている。
そして、自分の自由気ままな旅も、こんな人々に支えられているのだと感謝しつつ、また次の旅へと思いを巡らせた。